新型コロナウイルスのため外出できないぜん息患者さんへ専門医の先生からのメッセージ
ぜん息患者さんへ先生からのメッセージ
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堀口 高彦先生専門医藤田医科大学
名誉教授
新型コロナウイルスの感染拡大によって医療機関への受診を悩んでいらっしゃるぜん息患者さんへ
新型コロナウイルスがまん延している今、ぜん息患者さんは、健常な方以上に不安な中過ごされていることと思います。ぜん息患者さんの新型コロナウイルス対策として必ず行っていただきたいことをお知らせします。
ぜん息は気道に慢性的な炎症が生じている状態です。一般的に、気道が炎症を起こしている状態では、バリア機能が弱まり、ウイルスに感染しやすいと考えられています(1)。そしてウイルス感染は喘息を悪化させる要因のひとつです(2)。
新型コロナウイルスの場合でも、感染によりぜん息が悪化し、それに伴って呼吸不全が重症化する危険性が考えられます(3)。
ぜん息のコントロールには、気道の炎症をお薬によりしっかり抑えることが重要で、普段使っているお薬を先生の指示通り続けることがとても大切です。
ウイルス感染予防としても、手洗い、うがい、外出の自粛など通常の予防に加え、ぜん息患者さんは日ごろのぜん息予防にも努めていただくことが肝要です。
ぜん息治療の継続や医療機関の受診に不安がある場合は、自己判断で病院に行くのをキャンセルしたり、お薬を中止したりせずに、必ずかかりつけの先生にご相談いただくようお願いします。
- (1)Grainge CL. and Davies DE.: Chest. 144: 1906-1912, 2013
- (2)一般社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 監修:喘息予防・管理ガイドライン2021
- (3)一般社団法人日本アレルギー学会WEBサイト 新型コロナウイルス感染における気管支喘息患者への対応 Q&A
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ぜん息患者さんへ先生からのメッセージ
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白井 敏博先生専門医静岡県立総合病院
呼吸器内科部長
些細なことでもまずはかかりつけの先生に相談!感染症とぜん息管理
新型コロナウイルス感染防止のため、外出を控え家で過ごされている方も多いかと思います。どんな状況に置かれていても、何かしらの不安を感じながら過ごされている方が多いと思います。
不安などのストレスもぜん息悪化の要因となります(1)ので、自分なりのストレス発散法を見つけ、ためすぎないよう過ごしてください。
そして、感染症流行下でぜん息患者さんにとって特に大事なことは、今行っているぜん息の治療を続けることです。
ぜん息は気道に炎症があり、気道上皮にダメージを受けているためウイルスが侵入しやすく、感染しやすいと考えられています(2)。ウイルスの侵入を抑え、ぜん息の悪化を防ぐためにも気道の炎症を落ち着かせて状態を良くしておく必要があります。そのためには、ぜん息治療は自己判断で中止せず、必ず続けてください。
とはいえ、病院を受診する際には感染のリスクを不安に思うのは当然です。
今は、各病院も細心の注意を払って感染症対策を行っています。
まずはかかりつけの先生にぜん息の診療はどうしたらいいか等を相談し、不安な気持ちがあれば伝えてください。
- (1)一般社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 監修:喘息予防・管理ガイドライン2021
- (2)Grainge CL. et al.: Chest. 144: 1906-1912, 2013