専門医からのメッセージ
Messages From Doctors患者さんが自らのぜん息の状態をよく知り
治療を継続することが大切です
山口大学医学部附属病院 病院長
松永 和人 先生
ぜん息の検査や治療は着実に進歩しています
- ぜん息患者さんは、どんなことにお困りですか?
-
ぜん息は、患者さんの日常生活にさまざまな影響を及ぼします。よく聞く訴えは「夜間や明け方に咳が出て眠れない」、「息苦しくて身体を動かすことが制限される」などです。やりたいことをしようとすると辛くなるからそれを我慢する、あるいは、そういう状態に慣れてしまって、やりたいことを諦めてしまう方も多いでしょう。
- そういった状況が改善される見込みはありますか?
-
ぜん息の検査や治療方法は着実に進歩しています。10年前には分からなかったことが解明され、これまで治療できなかった方が治療できる、そういう時代になってきているのです。私たち医師は、患者さんがどういった生活の場面で困っておられるかを把握し、患者さんが今できなくて困っていることができるようになることを、ともに目指したいと考えています。


治療の基本は、気道の炎症を抑えることです
- どのようなメカニズムで、ぜん息にかかるのですか?
-
ぜん息は慢性的な炎症によって気道が狭くなる病気です。このため、呼吸が苦しくなったり、息をするとゼーゼー、ヒューヒューといった音がしたりします。この炎症は、好酸球やリンパ球などのさまざまな免疫細胞が中心となって生じています。なかでも好酸球は、ぜん息に対して悪玉であることが近年の研究で分かってきました。ぜん息の治療では、こうした炎症をもたらす物質の働きを抑えることが基本となります。
- 治療で使う薬には、どんなものがあるのでしょうか?
-
主として使われるのは、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬と、狭くなってしまった気道を拡げる気管支拡張薬です。こうしたお薬を続けて使うことで炎症が鎮まると、咳や息切れなどの症状や、急な症状の悪化も生じにくくなります。生活上の制約が減って、夜よく眠れるようになる、身体がだるくなくなるなどの変化が起きてきます。


- 従来のお薬だけでコントロールできないときは?
-
従来のお薬では症状が改善しない患者さんもおられます。そうした重症ぜん息の方は、炎症をひき起こす免疫細胞が気道で暴走している場合があります。気管支も狭くなっていて、急に息が苦しくなる、明け方辛くなって目を覚ましてしまうなどの症状が出やすくなっています。その場合、行っている治療に加えてその他の治療選択肢が検討されます。その治療選択肢の一つに、「生物学的製剤」というものがあり、この「生物学的製剤」は、気道炎症をひき起こす原因物質だけをターゲットにするお薬です。それ以外の細胞には作用せず、ピンポイントで効果を発揮します。結果として、従来の治療では気道の炎症が残ってしまうような重症ぜん息の患者さんにとって、治療の選択肢が広がりました。
まずは、ご自身のぜん息の状態をよく知ること
- 最後に患者さんへのメッセージをお願いします
-
ぜん息は高血圧や糖尿病などと同じく慢性の疾患です。生活への負荷を限りなく減らしつつ急な症状の悪化を防ぐためには治療の継続が必須であり、患者さんがご自身のぜん息の状態をよく知っていることが重要です。近年、ぜん息検査の進歩によって検査法も簡便になり、入院のいらない日帰り検査も可能となっています。検査結果や日常生活を通じて治療の効果を実感していただくことは、治療継続の大きなモチベーションにつながるでしょう。ご自分のぜん息治療をもう少しよくしたいとお考えの方は、かかりつけの先生にぜひ一度ご相談のうえ、専門医を受診していただければと思います。


お住まいのエリアの医療機関を
検索することができます。
検索する
専門医からのメッセージを読む
-
近畿大学病院 特任教授/病院長(近大病院統括)
東田 有智 先生

-
藤田医科大学 名誉教授 豊田地域医療センター 院長
堀口 高彦 先生

-

-

-
広島アレルギー呼吸器クリニック 理事長/統括院長 広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀 院長
保澤 総一郎 先生

-
山口大学大学院医学系研究科 呼吸器・感染症内科学講座 教授 山口大学医学部附属病院 病院長
松永 和人 先生


